「子どもに、犬や猫と一緒に育つ経験をさせてあげたい」
「家族みんな動物が好きだから、新しい家族として迎えたい」
そんなふうに考えているご家庭も多いのではないでしょうか。
子どもと犬や猫が寄り添って眠ったり、一緒に遊んだりする姿を想像すると、とても微笑ましいですよね。
でも、赤ちゃんや小さな子どもは、まだ動物との接し方がよく分かりません。
犬や猫にとっても、小さな子どもの突然の動きや大きな声が、思わぬストレスになることがあります。
大切なのは、
「子どもがいるから犬や猫を飼えない」と考えることではなく、子どもとペットの両方が安心して暮らせる環境を作れるかを、迎える前に考えておくこと。
今回は、赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭で犬や猫を迎えるときに、知っておきたいポイントをまとめてみます。
赤ちゃん・小さい子どもがいる家庭で、まず考えたいこと
犬や猫を迎えるということは、かわいい家族が一人増えるだけではありません。
食事、トイレ、散歩、掃除、健康管理など、毎日のお世話も増えます。
赤ちゃんのお世話だけでも忙しい時期に、さらに犬や猫のお世話が加わっても無理なく続けられるでしょうか。
まずは、
「飼えるかどうか」ではなく、「家族みんなが無理なく暮らし続けられるか」
という視点から考えてみましょう。
環境省も、動物を飼うことはその命を預かることであり、飼い主には動物が健康で快適に暮らせるよう最後まで責任を持つことが求められると案内しています。環境省_飼い主の方やこれからペットを飼う方へ
1.子どもと犬・猫だけにしない
どんなに穏やかな犬や猫でも、小さな子どもとの接触には大人の見守りが大切です。
小さな子どもは悪気がなくても、
- しっぽを引っ張る
- 耳をつかむ
- 抱きしめる
- 追いかける
- 寝ているところを触る
- 食事中に近づく
といった行動をすることがあります。
犬や猫にとって「怖い」「痛い」「逃げたい」と感じる状況になれば、自分を守るために噛んだり引っかいたりする可能性もあります。
これは「その犬や猫が悪い」という話ではありません。
子どもにも犬猫にも、まだ相手との適切な距離が分からないことがあるという前提で、大人が間に入ってあげることが大切です。
特に赤ちゃんや幼児のうちは、犬や猫と一緒にいるときには大人が様子を見られる環境を作っておきましょう。
2.犬や猫が一人になれる「逃げ場所」を作る
子どもに自分の居場所が必要なように、犬や猫にも落ち着いて休める場所が必要です。
クレートやケージ、別室、猫ならキャットタワーなど、
「ここにいれば誰にも邪魔されない」
という場所を用意してあげましょう。
そして大切なのが、子どもにも、
「ここにいるときはワンちゃん・猫ちゃんを触らないよ」
というルールを教えること。
犬や猫が自分から離れていったときには追いかけず、休ませてあげます。
家族になったからといって、いつでも一緒にいなければならないわけではありません。
安心して離れられる場所があることも、一緒に暮らすための大切な環境づくりです。
3.子どもにも「犬や猫との接し方」を少しずつ教える
犬や猫だけをしつければ安全に暮らせる、というわけではありません。
子ども側にも、成長に合わせて少しずつ接し方を伝えていきましょう。
たとえば、
「寝ているときはそっとしておこうね」
「ごはんを食べているときは触らないよ」
「嫌がっていたら追いかけないよ」
「抱っこしたいときは大人と一緒にね」
など、難しいルールを一度に教える必要はありません。
日々の生活の中で繰り返し伝えていけば大丈夫です。
そして子どもが優しく触れられたときには、
「優しくできたね」
と伝えてあげるのもいいですね。
犬や猫との暮らしは、子どもにとって「生き物にも気持ちや都合がある」ことを知る機会にもなります。
4.衛生面も少し意識しておこう
犬や猫と暮らす以上、抜け毛や排泄物などとは付き合っていくことになります。
だからといって必要以上に神経質になる必要はありませんが、赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭では基本的な衛生管理は大切です。
東京都は、人と動物の共通感染症を防ぐためにも、動物を触った後やフンの処理をした後、食事の前などには石けんで手を洗うこと、口移しで食べ物を与えるような濃厚な接触を避けることなどを案内しています。東京都動物愛護相談センター_動物に接するときの注意
家庭でも、
- 犬や猫を触った後は手を洗う
- トイレや排泄物はこまめに処理する
- ペットの食器と人の食器を分ける
- 顔や口を過度になめさせない
- ノミ・ダニ対策や健康管理をする
といった基本を習慣にしておくと安心です。
特にハイハイをする赤ちゃんは床に近いところで過ごすので、床やカーペットなども無理のない範囲で清潔にしておきたいですね。
5.アレルギーについても迎える前に考えておく
犬や猫の毛そのものだけでなく、フケや唾液などに由来する物質がアレルゲンになることがあります。
環境再生保全機構でも、室内環境のアレルゲンとして犬や猫などのペット由来アレルゲンを挙げています。環境省_Q4-2 アレルゲンについて詳しく教えてください。
特に、すでにぜん息や動物アレルギーなどについて医師から指摘されているお子さんがいる場合には、迎える前に主治医へ相談しておくのがおすすめです。
同機構では、乳幼児は床に落ちたアレルゲンに触れやすく、自分で手洗いなどの対処をすることも難しいため、アレルギーのある家庭ではペットを迎える時期を先に延ばすことも選択肢として紹介しています。環境省_Q9-1 こどもがペットを飼いたがりますが飼ってもよいですか?
「飼いたい」という気持ちはもちろん大切。
でも、今すぐ迎えることだけが正解ではありません。
家族の状況によっては、子どもがもう少し成長するまで待つことも、犬や猫と家族の双方を大切にする選択です。
6.お世話をするのは誰?家族で役割を決めておこう
「子どもが欲しがっているから、子どもにお世話をさせよう」
と思うこともあるかもしれません。
もちろん、年齢に応じて一緒にお世話をすることは素敵な経験になります。
でも、飼育の最終的な責任を子どもだけに任せることはできません。
最初は張り切ってお世話していた子どもでも、成長すれば学校、習い事、友達との時間など生活は変わります。
そのとき、
「散歩は誰がする?」
「トイレ掃除は?」
「病院へ連れて行くのは?」
「赤ちゃんのお世話で手いっぱいの日は?」
といったことまで考えておきましょう。
基本的には、大人が最後まで責任を持つことを前提にして、その中で子どもにもできることを手伝ってもらうくらいに考えておくとよいでしょう。
犬を迎える場合に特に気をつけたいこと
ここまでは犬と猫に共通するポイントでした。
ここからは、それぞれの特徴に合わせて少しだけ考えてみましょう。
飛びつきや体格差に注意する
人が大好きな犬の場合、うれしくて子どもに飛びついてしまうことがあります。
大人なら平気でも、小さな子どもにとっては大きな衝撃になることがあります。
特に中型犬や大型犬を迎える場合は、成犬になったときの大きさや力の強さまで想像しておくことが大切です。
「今は小さな子犬だから大丈夫」だけで判断せず、その子が成長したあとの暮らしまで考えてみましょう。
毎日の散歩時間を確保できる?
犬の場合、多くの家庭では日々の散歩も必要になります。
赤ちゃんを連れて犬の散歩へ行くのか。
その間、別の家族が赤ちゃんを見てくれるのか。
雨の日や雪の日はどうするのか。
子育てだけでも予定どおりにいかないことはたくさんあります。
「散歩が必要なのは分かっている」からもう一歩進んで、「わが家なら誰が、いつ行く?」まで考えておくと、迎えた後の生活をイメージしやすくなります。
猫を迎える場合に特に気をつけたいこと
猫が高い場所へ逃げられる環境を作る
猫は自分で距離を取れる場所があると安心しやすい動物です。
キャットタワーや棚など、子どもの手が届かない高い場所を作っておけば、
「今は一人になりたい」
というときに猫自身が移動できます。
ただし、家具の転倒や落下事故が起こらないよう、安全性には十分配慮しましょう。
猫トイレは子どもが触れにくい場所へ
猫のトイレは、猫自身が落ち着いて使えて、なおかつ小さな子どもが簡単に触れない場所に置くとよいでしょう。
特に何でも触って口に入れてしまう時期の子どもがいる場合は、トイレ砂や排泄物に触れないよう配置を工夫します。
そして排泄物を処理した後は、きちんと手を洗いましょう。東京都動物愛護相談センター_動物に接するときの注意
犬や猫の「嫌だよ」のサインにも気づいてあげよう
犬や猫は言葉で、
「今日は静かにしてほしい」
「そこを触られるのは嫌」
とは言えません。
その代わり、体の動きや行動で気持ちを表します。
いつもと違う場所へ隠れる、距離を取ろうとする、触られることを避けるなど、普段と違う様子が続くときは、
「わがままなのかな?」ではなく、「何か嫌なことや不調がないかな?」
という視点で見てあげましょう。
特に子どもが犬や猫を気に入って頻繁に構いたがる場合、大人が間に入ってペットが静かに過ごせる時間を作ってあげることも大切です。
「今は迎えない」という選択も、家族を大切にする決断
犬や猫を迎えるためにいろいろ調べてみた結果、
「今のわが家では、ちょっと大変かもしれない」
と思うことがあるかもしれません。
でも、それは悪いことではありません。
東京都動物愛護相談センターも、犬や猫を迎える前によく考え、状況によっては「今は飼わない」と判断することも大切な選択と案内しています。東京都動物愛護相談センター_犬や猫を飼う前に考えてほしいこと
赤ちゃんがもう少し大きくなってから。
生活が落ち着いてから。
家族みんなでお世話できるようになってから。
犬や猫を迎えるのに、「今でなければいけない」ということはありません。
迎えたあとに「こんなはずじゃなかった」となるより、家族みんなが笑顔で迎えられるタイミングを待つ。
それも、これから家族になる犬や猫への優しさなのではないでしょうか。
まとめ|子どもにも犬猫にも安心できる暮らしを
赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭でも、準備や環境を整えながら犬や猫との暮らしを考えることはできます。
ただ、かわいい姿を想像するだけでなく、
子どもの安全と、犬や猫の安心の両方を考えること。
これがとても大切です。
子どもと犬や猫。
どちらか一方に我慢をさせるのではなく、それぞれが安心できる距離や居場所を作りながら、少しずつ「家族」になっていく。
そんな暮らしを想像しながら、
「今のわが家なら、みんなで無理なく暮らしていけるかな?」
と、迎える前に家族で話し合ってみてくださいね。
そして、犬や猫を迎えること自体について、費用や住環境、家族の同意などからもう一度確認したい方は、第1号記事
「保護犬・保護猫を迎える前に知っておきたいこと|家族になるための準備と注意点」
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