「一人暮らしだけど、犬や猫と暮らしたい」
そんなふうに考えたことがある方も多いのではないでしょうか。
仕事から帰ったときに迎えてくれる存在がいたり、休日を一緒にのんびり過ごしたり。
犬や猫との暮らしを想像すると、楽しみなことがたくさんありますよね。
でも一人暮らしの場合、ごはんをあげるのも、トイレを掃除するのも、病院へ連れて行くのも、基本的には自分です。
そして忘れたくないのが、
「もし自分がお世話できなくなったら?」
ということ。
一人暮らしだから犬や猫を飼ってはいけない、ということではありません。
ただ、一人でお世話を担うからこそ、迎える前に考えておきたいことがあります。
今回は、一人暮らしで犬や猫を迎えたいと思っている方に、住まいやお金、時間、そして「もしものとき」の備えについて一緒に考えていきたいと思います。
一人暮らしだからこそ、迎える前に考えておきたいこと
家族と暮らしている場合は、自分が忙しい日にほかの家族へお世話を頼めることがあります。
一人暮らしでは、それができないことも多いでしょう。
仕事が忙しくなった。
体調を崩した。
急な出張が入った。
思っていた以上にお金がかかるようになった。
こうした生活の変化があったときにも、その子のお世話は続いていきます。
東京都動物愛護相談センターには、実際に「仕事が忙しくなった」「病気で世話ができなくなった」「高齢になったペットの介護が負担になった」といった相談事例があります。
同センターは、迎える前によく考え、状況によっては「今は飼わない」と判断することも大切な選択と案内しています。
東京都動物愛護相談センター_犬や猫を飼う前に考えてほしいこと
大切なのは、
「今の自分なら飼えるか」だけでなく、「生活が少し変わっても一緒に暮らしていけるか」まで想像してみること。
ここから一つずつ考えてみましょう。
1.今の住まいは本当に犬や猫と暮らせる?
まず確認したいのは住まいです。
賃貸住宅の場合は、契約書や管理規約を確認して、本当にペットを飼育できる物件なのか確認しましょう。
「ペット可」と書かれていても、
- 犬のみ・猫のみ
- 小型犬のみ
- 1匹まで
- 大きさや体重に制限がある
など、条件が決められている場合があります。
環境省のガイドラインでも、集合住宅では規約によって飼育できる動物の種類、大きさ、頭数などが定められていることがあるため、飼う前に確認するよう案内されています。環境省_住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン
そして一人暮らしの場合は、今の部屋だけでなく、将来引っ越す可能性も少し考えておきたいところ。
転勤や転職などで引っ越すことになった場合でも、犬や猫と一緒に住める物件を探す必要があります。
「引っ越すことになったら、そのとき考えよう」ではなく、
ペットと暮らし始めたら、これからの住まい選びにもその子が加わる。
そう考えておくといいですね。
2.毎日のお世話をする時間はある?
犬や猫のお世話には休日がありません。
仕事で疲れて帰ってきた日も、ごはんや水、トイレなどのお世話は必要です。
犬なら散歩もあります。
猫の場合も、
「散歩がないから何もしなくていい」
というわけではありません。
食事やトイレ掃除、遊び、健康状態の確認など、毎日の生活があります。
ここで考えたいのは、
「時間がある日にお世話できるか」ではなく、「忙しい日でも続けられるか」。
朝早く出勤する日。
残業で遅くなる日。
疲れて何もしたくない日。
そんな日でも続けられる生活なのか、一度いつもの一日を思い浮かべてみましょう。
犬と猫では必要なお世話や留守番環境にも違いがあるので、こちらは続編の「一人暮らし実践編」で詳しく取り上げます。
3.「毎月いくら」だけではなく、突然の出費にも備えられる?
犬や猫との生活にはお金もかかります。
毎日のフードやトイレ用品だけでなく、
- ケージやキャリーケース
- 首輪やハーネス
- ペットシーツや猫砂
- ワクチンなどの健康管理
- 病気やケガの治療
- 犬種などによってはトリミング
- 冷暖房などの光熱費
など、さまざまな費用があります。
東京都動物愛護相談センターも、犬猫には日々の食事や消耗品だけでなく、健康管理や病気・ケガの治療費など、生涯にわたって費用がかかることを案内しています。東京都動物愛護相談センター_犬や猫を飼う前に考えてほしいこと
一人暮らしの場合、家計を一人で支えているケースも多いでしょう。
だから、
「毎月のフード代くらいなら大丈夫」
だけではなく、
「突然、動物病院へ行くことになったら?」
まで考えておきたいところです。
金額は犬種・猫種、年齢、健康状態、暮らし方などによって大きく変わるので、一律に「○万円あれば大丈夫」とは言えません。
迎えようとしている犬や猫について、どんな費用が必要になりそうか事前に調べて、毎月の生活費とは別に急な出費にも対応できる余裕があるか確認してみましょう。
4.仕事が忙しくなったときはどうする?
今は定時で帰れていても、働き方がずっと同じとは限りません。
部署が変わる。
勤務時間が変わる。
残業が増える。
出張が必要になる。
転職する。
そんな変化が起こることもあります。
犬や猫を迎える前には、
「今の勤務時間なら大丈夫」だけではなく、「多少働き方が変わっても対応できそうか」
まで考えてみると安心です。
もちろん未来のことをすべて予測することはできません。
だからこそ、家族や友人、ペットシッター、ペットホテルなど、困ったときに頼れる選択肢をいくつか知っておくことが大切です。
実際の留守番時間や仕事との両立については、次の「一人暮らし実践編」で詳しく考えていきます。
一番考えておきたい「もし自分がお世話できなくなったら?」
一人暮らしで犬や猫を迎えるとき、特に考えておきたいのがここです。
自分自身が、
突然入院する。
ケガをして動けなくなる。
家に帰れなくなる。
そんなことが絶対に起こらないとは言えません。
東京都動物愛護相談センターにも、
「検査入院が必要になったけれど、犬や猫がいるので入院できない」
「ケガをして自宅療養が必要になり、その間のお世話をどうしたらいいか」
といった相談が寄せられています。
だから迎える前に、一度だけでも考えてみてください。
「もし明日、自分が入院したら、この子を誰にお願いする?」
この質問に答えられるでしょうか。
頼れる人を一人でも見つけておく
家族、親戚、友人など、緊急時に連絡できる人がいるなら、
「もし私に何かあったら、この子のことをお願いできる?」
と一度話しておくと安心です。
ただし、
「たぶん実家で預かってくれる」
ではなく、できれば事前に確認しておきましょう。
相手の住まいがペット不可だったり、家族にアレルギーがあったり、すでに動物を飼っていて受け入れが難しかったりする可能性もあります。
「頼れると思っていた」と「実際に頼れる」は、別の話です。
ペットホテルやペットシッターも調べておく
身近に頼れる人がいない場合でも、すぐに「だから飼えない」と考える必要はありません。
ペットホテルやペットシッターなど、外部のサービスを利用する方法もあります。
大切なのは、必要になってから初めて探すのではなく、元気なうちに選択肢を調べておくこと。
近くに利用できるサービスはあるか。
どんな条件で預かってもらえるか。
ワクチン接種など利用条件はあるか。
緊急時にも相談できるか。
費用はどのくらいか。
あらかじめ確認しておけば、突然の出来事にも対応しやすくなります。
緊急時に「家にペットがいる」と伝わるようにする
一人暮らしでは、自分が外出先で事故や急病に遭った場合、家に犬や猫がいることを周囲の人が知らない可能性があります。
そこで、
「自宅に犬(猫)がいます」
ということと、緊急連絡先などを記したカードを財布などに入れておく方法もあります。
東京都動物愛護相談センターでは、まさにこうした用途の「ペットを守る緊急連絡カード」も案内しています。
スマートフォンの緊急時情報などとあわせて、
自分が話せない状態でも「家に待っている子がいる」と誰かに伝わる仕組み
を作っておくと安心ですね。
災害が起きたときのことも考えておこう
地震や豪雨などの災害は、飼い主が家にいるときに起こるとは限りません。
仕事中かもしれません。
買い物中かもしれません。
一人暮らしなら、留守中のペットを助けられる人が自宅に誰もいない可能性もあります。
環境省は、人とペットの災害対策について、飼い主自身の安全確保を前提としてペットとの同行避難を基本的な考え方としており、平時からの備えを重要としています。
また、避難所へペットと一緒に避難する「同行避難」は、必ずしも避難所で人とペットが同じ空間で生活できるという意味ではありません。
実際の受け入れ方法は地域や避難所によって異なるため、住んでいる自治体のルールを事前に確認しておきましょう。
そして、
- ペットフードと水
- 常備薬
- キャリーやケージ
- リードや首輪
- トイレ用品
- 健康情報
- 飼い主が分かるもの
など、ペット用の防災用品も準備しておきたいところです。
「一つずつ準備するのが大変」という場合は、ペット用の防災用品がセットになった防災バッグを利用する方法もあります。
東京都では、非常時用として水とフードを少なくとも5日分、できれば7日分以上備えることなども案内しています。東京都動物愛護相談センター_ワンニャンとうきょう
犬と猫、自分の生活にはどちらが合っている?
「一人暮らしなら猫の方が飼いやすい」
「小型犬なら一人暮らしでも大丈夫」
などと言われることがあります。
でも、これだけで判断するのはおすすめできません。
犬でも猫でも、年齢、性格、健康状態などによって必要なお世話は違います。
同じ猫でも、人との関わりを強く求める子もいれば、一人で静かに過ごすことを好む子もいます。
犬も、犬種や年齢、性格などによって運動量や生活スタイルはさまざまです。
だから、
「一人暮らしには犬と猫のどちらが向いている?」
ではなく、
「今の自分の暮らしと、この子の性格や必要なお世話は合っている?」
という視点で考えてみてください。
保護犬・保護猫を迎える場合なら、譲渡元に自分の勤務時間や留守番時間、一人暮らしであることなどを伝えたうえで、相性について相談するのもよいでしょう。
「一人暮らしだから飼えない」ではなく、「一人だからこそ準備する」
ここまで読むと、
「一人暮らしで犬や猫を飼うって大変そう……」
と思った方もいるかもしれません。
確かに、一人で担わなければならないことは多くあります。
でも、
一人暮らしだから犬や猫と暮らしてはいけない、という話ではありません。
大切なのは、
今の住まい。
仕事とのバランス。
必要なお金。
そして、自分に何かあったときのバックアップ。
これらを迎える前に考えておくことです。
「大丈夫だろう」ではなく、
「こうなったら、こうしよう」
を少しずつ増やしておく。
それが、一人暮らしで犬や猫を迎えるときの大きな安心につながります。
まとめ|「自分一人で全部やる」ではなく、頼れる仕組みも一緒に準備しよう
一人暮らしで犬や猫を迎える前には、
- 今の住まいで本当に飼えるか
- 毎日のお世話を続けられるか
- 継続的な費用と急な出費に対応できるか
- 仕事が忙しくなったときにどうするか
- 自分が病気やケガをしたときに頼れる人がいるか
- ペットホテルなど外部サービスを利用できるか
- 災害時にどう行動するか
などを考えておきましょう。
一人暮らしだからこそ、
「全部自分で何とかしなければ」
と思う必要はありません。
むしろ、
「自分ができないときに、誰に・どこに頼るか」まで準備しておくことも飼い主としての備えです。
犬や猫との暮らしは、迎えたその日から何年も続いていきます。
だからこそ、迎える前に少しだけ未来の暮らしを想像して、
「この子と長く安心して暮らすために、今から何を準備できるかな?」
と考えてみてくださいね。
犬や猫を迎えること自体について、住環境や家族との暮らしなど基本的なことから確認したい方は、
「保護犬・保護猫を迎える前に知っておきたいこと|家族になるための準備と注意点」
もあわせてご覧ください。
そして次回は、
「一人暮らしで犬や猫と暮らすには?|留守番・仕事・旅行など毎日の生活で気をつけたいこと」
として、実際に迎えたあとの暮らしについて詳しく取り上げます。
