「犬を飼うなら、1匹だけより2匹いた方が寂しくないのかな?」
「今いる子に、遊び相手がいた方がいい?」
「もう1匹迎えたいけれど、先住犬とうまくやっていけるか心配……」
犬との暮らしに慣れてくると、そんなふうに2匹目のお迎えを考えることもあるかもしれません。
仲良く寄り添って眠ったり、一緒に遊んだりしている犬たちを見ると、
「多頭飼いって楽しそう!」
と思いますよね。
もちろん、多頭飼いだからこそ味わえる楽しさもあります。
一方で、犬にもそれぞれ性格や相性があり、
「犬は仲間がいた方が幸せ」
「1匹ではかわいそう」
と単純に決められるものではありません。
1匹だからこそ落ち着いて暮らせる犬もいれば、ほかの犬と一緒に過ごすことを楽しめる犬もいます。
今回は、犬の1匹飼いと多頭飼い、それぞれのメリット・デメリットと、すでに先住犬がいる家庭で2匹目を迎えるときに考えたいことについて見ていきましょう。
犬は1匹だと寂しいの?
まず気になるのが、
「犬を1匹だけで飼うのはかわいそう?」
ということではないでしょうか。
犬は社会性のある動物ですが、だからといって、すべての犬がほかの犬との同居を必要としているわけではありません。
人と過ごすことが好きな犬もいれば、ほかの犬と遊ぶことが好きな犬もいます。
反対に、ほかの犬が苦手だったり、自分のペースで静かに過ごすことを好んだりする犬もいます。
大切なのは、
「1匹か2匹以上か」という数だけで幸せを判断しないこと。
その犬の性格や年齢、これまでの生活、飼い主との関係、住環境などを含めて考えてあげたいですね。
犬を1匹で飼うメリット
1.1匹に時間と愛情をかけやすい
1匹飼いの大きなメリットは、飼い主の時間や意識をその子に向けやすいことです。
散歩や遊び、しつけ、ブラッシングなどのお手入れ。
そして何でもない時間に、のんびり一緒に過ごすこと。
犬との関係をじっくり作りやすいのは、1匹飼いならではの良さでしょう。
特に初めて犬を飼う場合には、まず1匹との生活に慣れることで、
「犬との暮らしって、こういうものなんだ」
と少しずつ経験を積んでいくことができます。
2.健康状態や変化に気づきやすい
食べた量。
飲んだ水の量。
排泄の状態。
いつもより元気がない。
歩き方が少し違う。
1匹だけなら、
「これはどちらの犬のもの?」
と迷うことが少ないため、体調の変化にも比較的気づきやすくなります。
日頃からその子の「いつもの状態」を知っておくことは、健康管理の大切なポイントです。
3.費用を抑えやすい
犬との生活には、フード代だけでなく、
- ワクチンや予防
- 動物病院の診療費
- トリミングやお手入れ
- ペット用品
- ペットホテルやシッター
- ペット保険を利用する場合の保険料
など、さまざまな費用がかかります。
多頭飼いになれば、当然こうした費用も増えていきます。
1匹なら、その子に必要な費用を確保しやすいというメリットがあります。
4.移動や旅行、災害時にも対応しやすい
動物病院へ連れていく。
車で移動する。
旅行する。
災害時に避難する。
こうした場面でも、犬の数が増えるほど準備する物や移動の負担は大きくなります。
特に飼い主が一人で複数の犬を連れて避難しなければならない状況も想定して、
「自分一人でも全頭を安全に連れて行けるか」
まで考えておく必要があります。
犬を1匹で飼うデメリット・注意したいこと
1匹飼いだから悪いということではありません。
ただし、飼い主への依存が強くなりすぎないよう、その子に合った形で一人でも落ち着いて過ごせるようにしておくことは大切です。
仕事などで留守番する機会がある家庭では、少しずつ留守番に慣れてもらうことも必要でしょう。
また、
「1匹だから寂しいはず」
と考えて、すぐに2匹目を迎える必要もありません。
もし留守番中の様子や行動で気になることがある場合には、
「友達を増やせば解決するかも」
と自己判断するのではなく、まず原因を考え、必要に応じて獣医師や犬の行動に詳しい専門家へ相談する方法もあります。
犬を多頭飼いするメリット
1.犬同士で関わる機会が増える
相性の良い犬同士なら、一緒に遊んだり、同じ空間でくつろいだりする姿が見られることがあります。
人間とは違う犬同士ならではのコミュニケーションが生まれるのは、多頭飼いの魅力の一つでしょう。
仲良く寄り添って眠る姿を見るのが幸せ、という飼い主さんもいるかもしれません😊
ただし、
「2匹いれば必ず仲良く遊ぶ」わけではない
ことは覚えておきたいところです。
2.犬同士から影響を受けることもある
先住犬が落ち着いて生活している様子を、新しく迎えた犬が見て行動するなど、犬同士がお互いから影響を受けることもあります。
ただし、良い行動だけを覚えるとは限りません。
吠える。
興奮する。
いたずらする。
といった行動につられることもあります。
「先住犬が全部教えてくれるから、2匹目のしつけは楽」
とは考えない方がよいでしょう。
新しく迎えた犬にも、その子に合った関わりやトレーニングが必要です。
3.犬との暮らしの楽しさが広がる
同じ犬でも性格は驚くほど違います。
甘えん坊。
マイペース。
遊ぶのが大好き。
慎重派。
そんな個性の違いに触れられることも、多頭飼いの楽しさです。
同じ家で暮らしていても、それぞれ違った関係を築いていけるのは、多頭飼いならではかもしれません。
犬を多頭飼いするデメリット・注意点
1.費用は「フード代だけ」が増えるわけではない
2匹になれば、ごはんも2匹分。
でも増えるのは、それだけではありません。
医療費、予防費、お手入れ用品、ベッド、リード、クレート、ホテル代など、さまざまな費用が増えます。
そして高齢になれば、複数の犬が同じ時期に通院や介護を必要とする可能性もあります。
「今2匹分払えるか」だけではなく、将来も続けられるか。
そこまで考えておきたいですね。
2.お世話の時間や手間も増える
多頭飼いになると、
「散歩は一緒に行けばいいから同じでしょ?」
と思うかもしれません。
でも、犬の大きさや体力、歩く速度、性格によっては、別々に散歩した方がよい場合もあります。
食事も同じものを同じ量とは限りません。
病院へ行くタイミングも違います。
つまり、
犬が2匹になっても、お世話がすべて1回で済むわけではない
ということ。
特に一人で複数の犬を飼う場合には、自分で対応できる頭数なのかをよく考える必要があります。
3.犬同士の相性が合うとは限らない
ここは多頭飼いを考えるうえで、とても大切なところです。
犬にもそれぞれ性格があります。
人が、
「この子たち絶対仲良くなりそう💕」
と思っても、犬たち自身が同じように感じるとは限りません。
距離を取りたがる犬もいれば、相手との接触がストレスになる犬もいます。
場合によっては、食べ物やおもちゃ、飼い主との関わりなどをめぐってトラブルになることもあります。
だからこそ、
「犬同士なんだから、そのうち仲良くなる」
と無理に一緒にさせないことが大切です。
先住犬がいる家庭で2匹目を迎える前に考えたいこと
さて、ここからは特に大切なところです。
「もう1匹飼いたい!」
と思ったとき、まず考えたいのは、
人間が2匹目を欲しいかどうかだけではありません。
すでに暮らしている先住犬にとって、その変化がどうなのかも考えてみましょう。
1.先住犬はほかの犬が好き?
散歩中にほかの犬と会ったとき、どんな様子でしょうか。
喜んで近づいていく?
少し距離を取りたがる?
緊張する?
吠えたり強く興奮したりする?
もちろん散歩中の反応だけで同居の相性が決まるわけではありません。
それでも、
「うちの子は、そもそもほかの犬との関わりを楽しむタイプなのかな?」
と考えるきっかけにはなります。
2.先住犬の年齢や健康状態も考える
若くて遊びたい盛りの犬と、静かに過ごしたいシニア犬。
元気いっぱいの子犬がやってきたことで、高齢の先住犬が疲れてしまうことも考えられます。
反対に、性格や生活ペースが合えば落ち着いて過ごせる組み合わせもあるでしょう。
大切なのは、
「何歳差なら絶対大丈夫」と数字だけで判断しないこと。
年齢だけでなく、健康状態や性格、活動量なども含めて考えたいですね。
3.「先住犬が寂しそうだから」だけで決めない
これは特に伝えておきたいところ。
飼い主が仕事へ行くとき、
「一人でかわいそう……」
と思うことがありますよね。
でも、
2匹目を迎えれば留守番の寂しさが必ず解消されるとは限りません。
新しい犬が来ること自体が先住犬にとって大きな環境変化になることもあります。
留守番が苦手なのであれば、
「2匹目を迎えれば大丈夫」
と考える前に、まず現在の留守番環境や過ごし方を見直してみましょう。
4.最初から何でも共有させなくていい
新しい犬を迎えたからといって、
「今日から家族なんだから仲良くしてね!」
と、すぐにすべてを共有させる必要はありません。
それぞれが安心して休める場所を作る。
必要に応じて食事場所を分ける。
ベッドやクレートなど、それぞれの居場所を用意する。
そして犬たちの様子を見ながら、少しずつ新しい生活に慣れてもらうことが大切です。
特に食事やおもちゃなどは犬同士のトラブルにつながることもあるため、最初から無理に共有させない方が安心です。
5.先住犬との時間も大切にする
新しく迎えた犬は、どうしても気になります。
トイレは大丈夫?
ちゃんと食べた?
怖がってない?
ついつい新しい子に意識が集中してしまうかもしれません。
でも、先住犬からすれば、
「突然知らない犬が来たうえに、飼い主までそっちばかり見ている」
という大きな変化です。
新しい犬のお世話をしながらも、先住犬とこれまで通り過ごす時間も大切にしましょう。
多頭飼いを始める前にチェックしたいこと
「もう1匹迎えたいな」と思ったら、かわいさだけで決める前に一度確認してみましょう。
- 2匹以上の飼育ができる住環境か
- 将来まで含めて費用を負担できるか
- それぞれに必要なお世話の時間を確保できるか
- 犬同士の相性を考えられるか
- 必要なら生活スペースを分けられるか
- 病気や介護が重なっても対応できそうか
- 災害時に全頭を連れて避難できるか
- 自分に何かあった場合、全頭をお願いできる人や方法があるか
そして、先住犬がいるならもう一つ。
「今いるこの子にとっても、2匹目を迎えることは無理のない選択だろうか?」
ここまで考えてから決めても、決して遅くありません。
犬を複数迎える場合も、それぞれの性格や健康状態に配慮し、最後まで責任を持って飼育できる環境を整えることが大切です。
多頭飼育を含むペットの適正な飼育については、環境省_「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」でも情報が公開されています。
1匹飼いと多頭飼い、結局どちらがいい?
ここまで読むと、
「で、結局どっちがいいの?」
と思うかもしれません。
でも、答えは家庭や犬によって違います。
1匹の犬とじっくり向き合う暮らしも素敵です。
相性の合う複数の犬とにぎやかに暮らす生活にも、また違った楽しさがあります。
だから、
「1匹ではかわいそう」
「多頭飼いの方が犬は幸せ」
と決めつける必要はありません。
大切なのは、
犬の数ではなく、その子たちが安心して暮らせる環境を作れるかどうか。
そして飼い主自身も、その暮らしを無理なく続けられるかどうかです。
まとめ|「もう1匹欲しい」の前に、今いる子の気持ちも考えよう
犬との暮らしが楽しいほど、
「もう1匹いたら、もっと楽しいかも」
と思うことがあります。
その気持ち自体は、とても自然なものです。
でも多頭飼いは、
かわいさが増えるだけではなく、守る命も増えるということ。
費用も、お世話も、健康管理も、将来への備えも増えていきます。
そして先住犬がいる家庭では、
人間にとって嬉しい2匹目が、必ずしも先住犬にとって嬉しいとは限りません。
だからこそ、
「私はもう1匹飼いたい」
だけでなく、
「今いるこの子は、どんな暮らしが心地いいだろう?」
という視点も忘れずに。
1匹でも、2匹でも、それ以上でも。
犬たちと飼い主が安心して暮らせる形が、その家庭にとっての一番なのだと思います。
